2012-04-25

bsnesがGBAエミュレーションを実装した

byuu's message board - View topic - bsnes v088 released

前回、最後に残っていたST018の実装を終えて、bsnesがすべての商用ソフトをサポートしたサイクル一致の精度のスーパーファミコン及びsnesエミュレーターになったことを書いた。ところで、ST018の実装で必要になったARMv3のエミュレーションの副産物として、GBAエミュレーションができたらしい。もっとも、GBAはARMv4を使っているので、簡単に対応というわけには行かなかったらしいが。

bsnesということで気になるのは高い精度だが、

On a side note, thanks to Cydrak and krom's hardware testing, we do have a nice milestone right out of the gate: proper OBJ mosaic emulation, which seems to be a first. At the very least, hopefully this will be helpful to other emulators.

の下りが気になるところだ。

また、あくまで精度の高いハードウェアのエミュレーションが目的なので、BIOSの高レベルエミュレーションは含まれていないそうだ。

その他に興味深いコメントとしては、

I just ... cannot debug ARM code. Too many registers, too much stack shuffling. I can't keep track of what's going on.

作者のbyuuという人間は理解できない。彼はすべての商用スーパーファミコン及びsnes用のカートリッジと箱と説明書を収集し、電子媒体に複製して保存する作業を行っている。ソフトウェアを正しく保存するには、当時と同じ環境で実行できなければならない。bsnesの開発動機の一端だ。

ただ、その動機がST018のエミュレーションまで進むのは理解が及ばない。ST018チップを利用しているのは、歴史上ただひとつの将棋ソフト、1995年に発売された早指し二段 森田将棋2だけである。しかも、現時点でまともにROMイメージを吸い出せる人間は限られている。たとえ非合法な方法で手に入れたとしても、やはり需要はないだろう。いまどきスーパーファミコンで動く将棋ソフトウェアなど、誰がやりたいと思うのか。あえて考えれば、コンピューター将棋の歴史書を編纂する歴史家が、すべての将棋ソフトウェアを網羅したいと考えたとき、必要になるだけだ。ソフトウェアの史書を書くならば、ソフトウェアを実際に実行して検証することは重要である。スーパーファミコンは有名なプラットフォームであり、当然歴史書に記す価値がある。

ところで、1995年に発売されたということは、もし、このゲームが映画だと判定されなければ、2046年に著作権の保護が切れる。映画だと判定された場合は、もう20年のびて、2066年である。ただおそらく、この将棋ソフトは動きがなさそうなので、映画とはみなされないのではないか。と、こう考えてみれば、何もそう遠い未来の話ではない。

bsnesは一体どこまでいくのやら。

参考:本の虫: bsnesがついに完成したそうだ

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