2012-02-14

Gumroadの仕組み

今、Gumroadが話題となっている。いったいこれはどういうサービスなのか。どのような仕組みなのか。それを調べたので、メモがわりに書いておく。

Gumroadは、URLの販売代行を行うサービスである。

たとえば、芸術的な絵を描いて、そのデジタルデータを売りたいとする。別に高く売るものではない。例えば、数百円で売りたいとする。広く売るものではない。例えば、せいぜい数十人から数百人程度に売れれば良しとする。デジタルデータに対する課金は、何も目新しいものではない。そのためにはまず、そのデータをダウンロードできるURLを用意する。これは簡単である。何しろ、レンタルサーバーは月数百円から存在するし、無料のファイルホストサービスも存在する。URLを、たとえば、http://www.example.com/art.zipとする。ここまでは簡単である。問題は、このURLを公開してしまっては、金が手に入らない。何とかして、ユーザーに課金させる仕組みを作らなければならない。

ところが、実際にユーザー登録などの機能を提供し、クレジットカード会社と契約してユーザーに課金し、課金済みのユーザーのみに使用が制限されたURLを用意してダウンロードさせる、などという大掛かりなWebサイトを、個人で始めるのは負担が重すぎる。第一、数百円程度のデジタルデータを小規模に売りたい時に、そんな大掛かりなサービスを実装するのは大赤字である。鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いんや。

ここに、Gumroadが割り込む。Gumroadで販売したいURL(http://www.example.com/art.zip)を値段とともに設定する。すると、Gumroadはその課金用URLを生成する。そのURLにアクセスすると、課金画面がでる。課金したユーザーには、設定したURL(http://www.example.com/art.zip)が告げられる。Gumroadは手数料を徴収した差し引きを、販売者に渡す。

これがうまくいくかどうかは、興味深いところだ。確かに、購入者の誰かひとりでもURL(http://www.example.com/art.zip)を漏らしてしまえば、この仕組は破綻する。これを防ぐために自前でアクセスに認証を設けるならば、Gumroadを利用する意味がない。しかし、今の時代、デジタルデータを共有するのは、非常に簡単になってる。容量はもはや問題ではない。数十GB、数百GBであっても、違法なアップロードとダウンロードの障害にはならない。破られなかったDRMは存在しない。もしあるとすれば、それはコンテンツに人気がなかっただけだ。とすれば、認証なしのURLが違法に漏れるのと、実際のデジタルデータが違法に共有されるのとは、結局は同じ事だとも言える。(そもそも、インターネット上のURLを公開するのが著作権侵害になるかというと疑問だが)たとえるならば、田舎の畑の前の無人の野菜販売所みたいなものだろう。カネを払わずに野菜を盗むのは簡単である。

だから、なにか安価なデジタルデータを少人数に販売する場合には、Gumroadでも、案外うまくいくのではないだろうかとも思う。あるいは、一昔前に流行った、気に入ったなら金を払う仕組みのいわゆるドネーションウェアなら、まあ損ではないともいえる。

Gumroadの試みは、果たしてうまくいくのだろうか。数年ほど観察すれば分かるはずだ。

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