2009-10-25

對酒歌

伝聞、魏の曹操、甚だ酒を好み、晋の陶淵明、己のまさに死せんとするに、酒飲むこと足らざることを嘆く。唐の李白は、酒を飲みて詩益盛んなり。余も古の詩人に習い、酒を呼び独酌して、醺然歩虛の境に至りぬ。則、この文を作る。

略古今を考ふるに、才ある者の用ゐらるること希にして、道理の通ること、さらになかりき。孔子は云ふに及ばず、忠にして君に事へ、諌言する者の罪せらる事、甚だ多し。吾、少時より力に劣り、書を読むことは好めども、さらに学ぶことなかりき。天下に起たんことを志して、世を巡れど、身の力及ばずして、ついに浮かぶことなかりき。伯夷と叔斉にあらざれば、天下の粟を喰らわずして死する決意もなし。この両年、空しく過ごすに、心に知る、隠居に益無しと。嗚呼、我が進退を如何せん。

少時より書を好むといふと雖も、哀しい哉、非才にして、自ら書を致すことなし。名文は、すでに古人により、世々に多く行われたり。さらに一点一画をも加ふるべき余地なし。嗚呼、我が非才を如何せん。

文字通り、酒に酔ひて文を作る。これ甚だ稚拙。

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