2013-07-03

GNU/Linuxベースのディストロの名前の意味と由来

有名なGNU/Linuxベースのディストリビューションの名前の意味と由来を調べてみた。

本文ではディストロやプロジェクトの名前を使っているので、LinuxカーネルとGNUユーザーランドを使ったシステムであっても、Arch LinuxとかGentoo LinuxMandariva LinuxとかFedora LinuxなどはGNU/Linuxではなく、そのまま表記している。

Slackware

ディストリビューションのさきがけともいえる存在だが、もともと、Slackwareは広く一般向けのディストリビューションを目指してはいなかった。そのため、真面目に受け取られることを防ぐ目的で、わざとふざけた名前が付けられた。slackというのは、どうもパロディ宗教のChurch of the SubGeniusに由来するようだ。

Slackware - Wikipedia, the free encyclopedia

Debian

Debian創始者のIan Murdockの嫁の名前Debraから三文字debをとり、ianを付け足して、Deb + ianと名付けた。

A Brief History of Debian - Introduction -- What is the Debian Project?

また、Debianはカーネルやユーザーランドに応じて名前を付け足すので、Debianには、Debian GNU/LinuxとDebian GNU/kFreeBSDとDebian GNU/Hurdが存在する。

Ubuntu

アフリカの思想の用語らしい。意味は、「人への思いやり」といったものらしい。

Ubuntu (philosophy) - Wikipedia, the free encyclopedia

Red Hat Enterprise Linux

Red Hatは文字通り「赤い帽子」を意味する。開発元の社名もRed Hatだ。その由来は、Red Hatの共同出資者のBob Youngへのインタビューによれば、西洋では、赤い帽子は昔から自由のシンボルとして使われていて、アメリカやフランスの革命の際にも着用されていたのだという。

テープに録音されたBob Youngの言葉によれば、「西洋史では、赤は自由や権威への挑戦のシンボルだった」とのことだ。

How Red Hat got its name

もともとは今のFedoraとRHELを合わせた性格のRed Hat LinuxがRed Hat社によって開発されていたが、一般向けのディストロの開発はコミュニティベースのFedoraに移し、Red Hat社としてはエンタープライズ向けのディストロに専念するため、今の名前になった。

Fedora

フェドラとは、帽子の一種の名前だ。おそらくはRed Hatの帽子の意味つながりでこの名前にしたのだろうが、名前決定の一次ソースが発見できなかった。経緯としては、もともとFedora Linuxという、Red Hatにソフトウェアを追加する有志のプロジェクトがあり、Red Hatがエンタープライズ用になった今、従来の一般向けのディストロ開発はコミュニティベースのFedoraに引き継がれた。

Fedora (operating system) - Wikipedia, the free encyclopedia

Arch Linux

由来不明。意味も不明。意味はArchitectureかArchwayではないかと思われるのだが。

一般に英語でのArchの読みは、Archwayのようなアーチと、Noah's Arkのようなアークの二通りが考えられるが、MLでの議論によれば、Arch Linuxの正式な読みはアーチだそうだ。

linux.arch.general - Re: Pronnounciation of our beloved distribution's name - msg#00254 - Recent Discussion OSDir.com

Gentoo Linux

Gentooは、ペンギンの一種の名前である。Gentooペンギンは、最も泳ぎの速いペンギンであり、Gentooのすばらしい改良速度と動作するプラットフォーム向けの最適化を示すものとして選ばれた。ちなみに読みはジェンツー。

Gentoo Linux - Wikipedia, the free encyclopedia
ジェンツーペンギン - Wikipedia

openSUSE

openSUSEは、SUSEというディストリビューションが元になっている。SUSEはもともとS.u.S.Eと表記されていて、これはドイツ語で、"Software und System-Entwicklung"の頭文字である。これは英語では、"Software and systems development"という意味であり、日本語では、「ソフトウェアとシステム開発」といった意味だ。

SUSEの商標はNovellに買収されたが、NovellはSUSEの開発自体はコミュニティによって行われたほうがいいと考えたので、開発の資金援助などはしているが、開発自体はコミュニティで行われている。

openSUSE - Wikipedia, the free encyclopedia

Mageia

ギリシャ語に由来し、意味は「魔法」。

退屈な由来としては、以下に詳しい。

[Mageia-discuss] origin of the name "mageia"?

多くの名前候補のなかから、既存の商標やドメイン名との衝突を避けて選ばれたのがMageiaだったらしい。

MageiaはMandriva Linuxからのforkだが、特にfork元の意味に似通ったものにするとか、Mから始まる名前にこだわったということはないらしい。

Mageia - Wikipedia, the free encyclopedia

Mandriva Linux

もはや活発に開発されていないディストロだが、名前変更の経緯が面白かったので紹介。

最初は、Linux-Mandrakeという名前で公開したが、後にMandrake Linuxとなった。既存の商標と衝突し、裁判で負けたため、空白を除去した、Mandrakelinuxになった。

開発元のMandrakeSoftが買収されたことや、以前からの商標の問題をきっかけに、会社名とともにディストロ名もMandrivaに改名した。

Mandrakeとは、日本でもマンドレイクやマンドラゴラなどと音訳されて呼ばれている植物だ。この植物は幻覚作用があることから、魔術的な意味合いを付けられていて、しまいには、抜くと金切り声を上げる、この金切り声を聞いたものは死ぬ。そこで、この魔法の草の採取には、縄を繋いだ犬を走らせ、また人間はできるだけ遠いところから耳にロウを詰めて防衛することなどとおかしな伝説まで広まった。

Mandriva Linux - Wikipedia, the free encyclopedia

とりあえず、それなりに有名で、現在も活発に開発が続けられていて、利用者も大勢いるディストロについて調べた。

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